ところどころに穴のあいた和紙を窓辺に吊るしたら、穴からいろいろな色が見えてきました。
木々の緑や、薄曇りの空の色、紫陽花の紫がちょうど覗いたり・・・。
風で揺れる度に見える色が移り変わり、ゆらゆらと楽しい光景です。
しばらく眺めていたら、丸い形とグリーンがキウイフルーツのように感じました。
この窓から、和紙で作ったキウイを覗かせてみたいな・・・。
制作前に、まずは実物を切って観察。
キウイは毎朝のように食べているのですが、よくよく見ると細かな色とデザイン。
自然のデザインは本当に神秘的で美しい・・・。
中心は白に近い薄緑、放射状に伸びた白いすじ、周りは少しくすんだ緑色。
タネはよくよく見ると、しずく型。
真っ黒ではなく、こげ茶に近い色。
白いすじは、和紙をひも状にして先端を広げたような形かな。
周りのくすんだ緑は、抹茶色にも近いかな。
タネは先をとがらせて。
まだまだ数が入りそう・・・。
和紙って、形と色が同時に作れてすごいな。
作りながら別の窓を見ると、楕円の形がキウイ丸ごとのよう。
次は皮のままを入れてみようかな。
・・・皮の色は何色なんだろう・・・緑、茶色、黄土色・・・?
また観察しなくては。
自然と和紙からは、いつも刺激と発見をたくさんもらっています。
キウイの窓
紫陽花色の和紙
美しい色のグラデーションを見ると心魅かれます。
紫陽花はまさに自然な色のグラデーション。
日々移り変わる様子を見るのが楽しみです。
和紙もまたグラデーションが美しく、微妙な色合いによく心奪われます。
中でも大好きな薄紫色のグラデーションを見つけると、つい当てもなく買ってしまい、
家に戻ると同じような色合いの和紙がすでにあり、笑ってしまうこともしばしば・・・。
薄紫色に所々青や水色が入っている和紙は、紫陽花色のように感じます。
少しずつ切って重ねながら小さなパーツを作っていくと、一つ一つが違う色合いに。
薄い紫に濃い紫、青みの紫、青、水色・・・。
次はどんな色が現れるんだろう・・・。
1枚の和紙を順に使っているだけなのに、何だか不思議で面白い。
おかげで同じ作業も、楽しみな時間に変わります。
出来上がったパーツでふんわり覆い、紫陽花の和菓子を作りました。
1枚の和紙から、たくさんの色が生まれてくる様子は
まるで和紙と色遊びをしているような楽しさです・・・。
出逢いの和紙
愛知県の小原和紙工芸作家、加納恒・登茂美ご夫妻が漉かれた和紙です。
現在展示中のギャラリーで求めました。
幅20cm、長さ95cmの「長和紙」は、本来文字を書くために漉かれた美しい和紙です。
私はその模様や色合いをとても素敵に感じて、個展で立体作品を飾る際に使っています。
今回は、スイーツのような甘くキュートなイメージを感じて選びました。
和紙には、糸が軽やかに踊り・・・
甘いキャンディーのような色がふんわり浮かんで・・・
口紅で模様を付けられたものもあり・・・
見ているだけでワクワクしてきます。
その和紙に「和紙スイーツ」を置いてみました。
ワイン色のシルク糸入り和紙には、「葡萄のパイ」を。
愛らしいピンクの木綿糸とビーズ入り和紙には、
「ラズベリームース」を。
口紅で付けられた模様の和紙には、「おめかしホワイトチョコムース」を・・・。
素晴らしい和紙と向き合っていると、自分の中で新しい何かが生まれてくるようです。
これからどんなスイーツの物語をのせていこうかな・・・。
和紙と出逢い、そこから感じたイメージを一つずつ形にしていくのが楽しみです。
~5/28(土)まで
「和紙の力」加納恒・登茂美ご夫妻
ステージ・あうんにて