「成人式のお祝いは、雛人形にしたから。」
「嬉しいでしょう!」
母から満面の笑みでそう言われた、二十歳の春
きっと、きょとん・・・としていたのだと思う。
「お嫁に行くとき、持って行きなさいね。」
そうも言われた・・・
母が大満足で購入した雛人形。
お内裏様とお雛様
華やかな色が、冬の空気を彩る。
朱色、黄色、桃色、萌木色・・・
小さいけれど、その空間が春のよう。
なかなか良いお祝いだったのだな・・・と、
今になってそう思う。
その後も母からは、毎年のように小さな雛人形をもらう。
折り紙、布、陶器、ガラスなどなど
飾ると、家中小さなおひな様に囲まれているようでもあり・・・
先月頂いたロウバイの花が、ポトポトと花を落としていた。
近くに飾っていた小さな雛人形とよく似合う。
雛人形をながめつつ、
春を想い
春を待つ