僕の贈り物  記:栗太郎

| 2011.05.04 Wednesday

朝起きると、部屋中いい匂いがした。

甘い匂いだ・・・。
キッチンからだよ。

美紀さん、朝からケーキ作ってるのかな・・・。

ちょっと覗いてみようっと。



ああぁ・・・いい匂い。
「美紀さん、おはよう。」

「何作ってるの?」

「ロールケーキ?」
「それともショートケーキ?」



「えっ!?」

「モ、モンブラン!!」
「モンブラン、作ってるのぉ!!!」

モンブランは僕の大好物のケーキだ。
嬉しいなぁ。

でも、どうして急に作ってくれたんだろう・・・。
この間、庭の草取り手伝ったからかな?
それとも和紙の勉強一生懸命したからかな・・・?

う・・・ん。
何だかよくわからないけど、僕のために大好物のケーキを作ってくれるなんて、
美紀さん今日は優しいじゃないか。

おぉっ!!
今からマロンクリーム絞るんだね。
美紀さん、僕の大好きなマロンクリームたくさん絞ってね。



あれ・・・?

今日のクリーム、いつもと違うよ。
僕、初めて見る色だ。
黄色のクリーム?
僕のマロン色とは違う色だ・・・。

それにモンブランは秋のお菓子だよ。
いつも季節を大切にしている美紀さんが、どうして5月に秋のお菓子を作るんだろう・・・。

今日は5月の4日・・・。
黄色いモンブラン・・・。
・・・・・・・・・・・・。

DSC_9898M15.jpg

そうかぁ!!

わかったよ!

このケーキ、今日届けに行くんだね!
「ねぇ、僕も一緒に行っていいかな。」

「えっ?」

「ちがうよぉぉ~。」
「ケーキが食べたいからじゃないよぉ。」

僕も伝えたいんだ。
「おめでとう」って。

僕、どんなふうに「おめでとう」って言おうかな。

いつものおもしろい顔で「おめでとう」がいいかな。
それとも、真面目な顔で「おめでとう」がいいかな。
優しく「おめでとう」がいいかな・・・。

何だか「おめでとう」って何度も言ってたら、僕も嬉しい気持ちになってきたよ。



大好物のケーキを見たら、どんな笑顔になるのかな・・・。

僕は何も持っていないから、心を込めて言うよ。

「お誕生日、おめでとう。」

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