美濃の和菓子(5)「象る」

| 2012.05.10 Thursday

現在展示中の「和紙に込めた光たち」
「美濃の和菓子作品」5軒目最後の信洲屋本店さん
制作で感じたキーワードは、「象る」(かたどる)

「象る」
●黒助
●ほし柿

『黒いういろう「黒助」
その表面には、筋のような模様がありました。
それは竹の型に入れることで、生まれた形。
その凹凸を表面につけてみる。
よく見ると、筋の片側はシャープで、片側はゆるい線。
一体感を出すために、また薄い和紙で全体を覆ってみる。
いろいろ考え形作っていく。
お菓子の形は楽しい想いが広がる形。』





~ お店に伺って ~
「黒助」の表面の筋は、何の跡だろう・・・?
模様は、きっとこのお菓子の大切なデザイン。

もう一度訪れて、ご主人に直接伺ってみました。
するとすぐにその型を持ってきて、丁寧に説明して下さいました。
使い込まれた竹の型・・・

型もまた愛しむように、使っていらっしゃるのだな・・・



お店は、大正初期からのご創業。
時の流れを閉じ込めたような空間が、また趣き深いです。
小さな彼も、興味深々の様子でした・・・



信洲屋本店


こうしてお店の方にお話を伺いながら、美濃の和菓子を制作していきました。

1軒目・小川屋さんの「美濃の若鮎やき」から始まり、5軒目・信洲屋さんの「ほし柿」まで、試行錯誤で作った全10作品。
途中行き詰った時、思い浮かべるのは、和菓子職人さんたちの温かな笑顔・・・・・・

和紙スイーツの元にあるのは、「手作りのお菓子」
作る人と食べる人の顔が互いに見え、お菓子を通して気持ちの受け渡しもしているように感じます。
今回の制作で、美濃の和菓子は私にとって特別なお菓子となりました。

ご協力頂きました5軒の和菓子店様、美濃和紙の里会館様に心よりお礼申し上げます。

美濃の和菓子(4)「刻む」

| 2012.05.09 Wednesday

現在展示中の「和紙に込めた光たち」
「美濃の和菓子作品」4軒目の登美家里泉さん
制作で感じたキーワードは、「刻む」

「刻む」
●桜
●春霞

『一輪の桜。
その美しい花びらは一枚づつ刻まれた形。
花びら一枚は深く刻まれ、先端は浅く刻まれた美しい線。
和紙で1枚づつ形にし、それを組み立ててゆく。
刻まれる前のお菓子は、どんな形だったのかな。
ひとつひとつ刻まれて、美しい花になっていくんだね・・・。』





~ お店に伺って ~
のれんをくぐると、店内には華やかな季節の和菓子。
温かな雰囲気の中で、季節の和菓子を頂きました。



一輪の花に菜の花畑。
山の景色に、かすんだ様子まで・・・

同じ大きさの和菓子が、花一輪にもなり、壮大な山にも景色にもなり・・・



その小さな姿から広がる背景・・・
膨らむイメージ・・・
季節、菓銘、香り、食感、味

和菓子一つ一つが奏でる世界

登美家里泉

美濃の和菓子(3)「彩る」

| 2012.05.08 Tuesday

現在展示中の「和紙に込めた光たち」
「美濃の和菓子」3軒目の此の花亭さんの和菓子
制作で感じたキーワードは、「彩る」


「彩る」
●紫陽花餅
●草餅

『紫陽花餅の涼やかな水色。
道明寺の粒は、紫陽花の花々かな。
穴の開いた和紙と水色を交互にして色を作っていく。
薄い和紙をどんな順番で、何枚重ねようかな・・・。

草餅の緑は、奥深い緑。深緑と緑、グレーも感じて入れてみる。
表面には白い粉。特に薄い白い和紙で覆ってみる。
色彩豊かな和菓子・・・その色を和紙で重ねて彩ってゆく。』





和菓子の美しく奥深い色・・・
何枚かの和紙を重ねて、色と表情を作っていきます。

紫陽花餅を包んであったのは、竹の葉。
今回は竹の葉も和紙で作りました。




~ お店に伺って ~
ご主人は、ゆっくりと一つ一つのお菓子を説明して下さいました。
作り手の方から、直にお話が聞けるのは本当に貴重な機会です。
「和紙の舞」という、パイ仕立てのお菓子もありました。
「パイの層が幾重にも重なるように、和紙が栄えていきますように」・・・と。

ご主人に、和紙スイーツ作品をご覧頂きました。

作品を手に取り、
目を細めながら、笑みがこぼれて・・・。



そんな表情を見るのが、私にとっては何より嬉しい瞬間なのかも知れません。

此の花亭

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