9歳のお誕生日に

| 2019.05.19 Sunday

今年、庭に植えた鈴蘭が初めて花をつけた。
見つけた時、何とも嬉しい気持ちになった。





1年に1回、お誕生日のお祝い作品を作る。
10年間続く幸せなご依頼
今年は9回目、9歳のお誕生日
もうあと1年なのだと感慨深くなる・・・

毎年作品に名前をつける。
想いを込める。
今年の作品は「音」

私が小さい頃、祖父母と一緒に過ごしていた。
きっと溢れるほどの愛情を毎日毎日もらっていたのだと思う。
それは自然なことだった。

大人になり、心の奥底にいつも温かなものがあると感じるようになった。
声なき声のように。
大切なメッセージを想う。
心が感じる声。

その声をその音を思った時、鈴の音が浮かびまた同時に鈴蘭の花が浮かんだ。
愛らしい鈴蘭
他の花にはない何かを持っているようでもあり。
鈴蘭の花模様をつける。





上には鈴蘭の花束。
その女の子が大好きな紫色のリボンをつけて。

彼女が大人になった時、今の温かな時間がいつか声になって感じる時がくるのかな。
温かな声
すずらんの花がゆれるように・・・





お誕生日おめでとう。

僕の色(3) 記:栗太郎

| 2019.05.07 Tuesday

「よかったら私共と一緒に染めてみませんか?」

僕の信頼する小原和紙のカノウさん。
僕が苦労しているのを知って、そう声をかけてくれた。
いつも心にかけてくれる優しいカノウさん。
美紀さんにも少しは見習ってほしいもんだ。

僕は和紙とハケと板を持って、カノウさんのところへ勉強に行くことになった。





空気も澄んでいいところだなぁ・・・
カノウさんは僕の為に栗のイガを煮詰めた液を用意してくれていた。
栗の染液!!
僕は大感激した!





網枠に和紙をのせて、染液に浸す。
僕は初めての作業にワクワク・ドキドキした。

イガの染液はすごく濃い色だった。
どんなに濃く染まるかと思ったら、ひきあげたその色は優しい茶色だった。






僕が試したハケ染めもやっていいかなぁ・・・
そっとたずねたら、カノウさんは快くやってくれた。
やっぱり温かな人はちがうよなぁ。

カノウさんがハケで塗る。
動かすその手は、僕とは全然違う。
「繊維が充分色を吸うまで・・・」と、和紙と会話しているようだった。





塗っては干し、塗っては干しを繰り返した。
いろいろな条件で試した。
いろいろな色が出来た。
自然な色だから、1枚づつ違っていいんだよね。





最後にバイセンザイをかけた。
僕と同じミョウバンだった。
カノウさんはバイセンザイによって色がちがうんだよと、テツバイセンを半分塗ってくれた。
少しするとそこが黒っぽくなってきた。



深い・・・
僕は思わずつぶやいた。
まだまだ勉強することいっぱいだなぁ。

カノウさんは栗の染液をペットボトルに入れて僕にくれた。
僕はとても嬉しかった!
「帰ってから何回も染めてみるね。」
そう約束して、もらった染液を美紀さんに取られないよう車に積んだ。

作業の後、みんなでお茶を飲んだ。
カノウさんが摘みたてのミントでハーブティーを作ってくれた。
爽やかな香りが工房いっぱいに広がった。
美紀さんが焼いたクッキーを食べながら、いろいろな話をした。





僕はとても温かな気持ちになった。
やっぱりお菓子とお茶の時間が好きだなぁ・・・
僕、栗色ができたら、次はいろいろなお茶で染めてみようかな。


北古味可葉さん墨展ご案内

| 2019.04.19 Friday

高知在住の書家・北古味可葉(きたこみ・かよ)さんの個展をご案内いたします。

可葉さんとは2010年・2013年と、いの町紙の博物館(高知)の3人展でご一緒させて頂きました。
美しくカッコよく、愛に満ちた可葉さん。

この度名古屋市内で、可葉さんの個展が開催されます。
~いつもはじまり~をテーマに、新しい可葉さんに出逢えるのが楽しみです。
緑と風きらめく爽やかな季節、どうぞギャラリーへお出かけ下さいませ。



北古味可葉・墨展 ~いつもはじまり~
2019年4/30(火)~5/6(月)10~18時(最終日16時まで)

ノリタケの森ギャラリー
名古屋市西区則武新町3-1-36(地下鉄東山線・亀島駅2番出口より徒歩7分)
TEL052-562-9811
https://www.noritake.co.jp/mori/

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