数年前、新聞の取材を受けた時のことです。
掲載用の作品写真にと、カラフルなクッキーがたくさん並んだ作品を撮影して頂きました。
作品について尋ねられ、和紙での色表現の楽しさや、微妙な色合いが生れる面白さを夢中
で話しました。
すると記者の方が申し訳なさそうに、「今回の掲載写真は白黒なんです・・・。」と。
・・・思わず笑ってしまいました。
数日後、掲載して頂いた白黒写真を見て、ハッとしました。
私の創作の楽しさは、「形から始まるんだ・・・」と。
「この形は和紙で表現すると、どうなるのだろう・・・。」
お菓子を見つめながら、それを考えるところが創作の楽しさなのだと。
只今、ドーナツをいろいろ制作中。
もちろん美味しそうな焼き色、カラフルな色もまた大きな魅力です。
が、今回は形を表現したくて、実際のドーナツをよくよく観察。
ねじりのドーナツ。
角がしっかりして、中央に割れ目のある平らなドーナツ。
小さな丸がつながったドーナツ。
それぞれの形。
それぞれの特徴。
ねじりながら、しなやかに丸くするにはどうしたらいいのかな・・・。
中央のくぼみ、平らな形はどんな表現だろう。
小さな丸のつなぎ目は、少しくっついて雪ダルマみたい・・・。
「こうすると、この表現ができる。」という、発見の楽しさ。
和紙のしなやかさを楽しみながら、一つづつ形にしています。
ちょっとした加減で、同じ形も作る度に違う表情に。
それもまた手作りの良さかな・・・。
くるりと丸いドーナツ。
ねじりのドーナツ。
クリームをのぞかせたドーナツ・・・などなど。
今度の教室でも、いろいろな形をお楽しみ頂く予定です。
和紙スイーツ1日教室「ミニドーナツ」
創造はモノクロの世界から
手の奥に
大切な人に「ありがとう」と 「おめでとう」を伝えたくて、
夢中で作った、和紙の小さなデコレーションケーキ。
手から生まれるもの。
その手の奥にあるもの・・・。
真っ白なクリームは、柔らかな白い和紙で。
楽しいデコレーションは、和紙から生まれるいろいろな形。
ロウソクの炎は、薄い和紙ならではかな・・・。
ふと見ると、ケーキの影が。
薄い和紙は影も薄いんだな。
何だか影も楽しそう・・・。
小さい頃からケーキ作りが大好きでした。
ケーキを作る時の楽しい気持ち。
ケーキを贈る時のワクワクした感じ。
浮かべる相手の笑顔・・・。
手の奥にあるものは、今もそんな気持ちかな。
手から生まれる
昨日から始まった、ぎゃらりい木屋さんの15周年記念の合同展示会。
タイトルは「手から生まれる。」
手から生まれる・・・。
展示のお話を頂いてから、ずっと素敵なテーマだなと感じていました。
和紙を切って、重ねて、ねじって・・・。
紐状にして、それを切って・・・。
一枚の和紙が、手を通していろいろな形になってゆく。
手から生まれるいろいろな形。
形を作るその手の奥にあるものは何だろうか・・・。
心、想い、イメージ・・・。
15周年のお祝いに、会場に華やかな空気が添えられたらいいな。
秋のお菓子、形、色、物語のお菓子・・・。
今感じているもの、ずっと大切に思っているもの。
作品を作りながら、いろいろな想いがぐるぐるまわって・・・。
一つ作っていると、また手の奥で一つ次が生まれてくる。
一つづつ形になってゆく楽しみ。
作り続けていくうちに、どんどん楽しくなって、どんどん何かが生まれてくるよう。
その楽しさも一緒に生まれてくるといいな。
いろいろ感じながら、出来上がった小さな作品たち。
新しく生まれた作品を見つめながら、また次を思う。
次はどんな想いが、手から生まれてくるのかな。
ぎゃらりい木屋・15周年記念企画展「手から生まれる」