季節を映した愛らしい和菓子。
花や景色、物語までもをその小さな姿で魅せてくれます。
初めての和菓子作品は、夏の和菓子。
その一つに「蛍」という名前の和菓子がありました。
頂いてみようと切ってみると、小豆餡の中に、きな粉を使った薄黄色の餡が。
「ああ・・・蛍の光を表現しているんだ・・・。」
小さな姿の中に、その風景が広がるようでした・・・。
感激と共に、和菓子はひとつの宇宙のようだと思いました。
只今、来年の展示会に合わせて早春の和菓子を制作中。
今は実物がないため、写真などを参考にしての制作となりました。
選んだ和菓子は、「雪割草」
実物がないためか、いつになく作る前にいろいろ興味が湧いてきます。
「雪割草」は、どんな花?
由来は何?
花の形は?色は?
いろいろ調べていくと、次から次へと興味が湧いて、なかなか作業が
進みません(笑)
同じ雪割草でも和菓子のデザインは様々。
それぞれの職人さんの美しい作品を見て、またうっとり。
よく見ると、上にキラキラした白いものが・・・。
雪を割るようにして咲き出す、雪割草。
ああ・・・これは雪の表現なんだ。
この雪の表現は、和紙だと何を使ったらいいのかな。
光沢のある麻素材かな。
穴のあいた落水紙(らくすいし)も雪のよう。
ごく薄い典具帖紙(てんぐじょうし)も重ねてみようかな・・・。
雪の中に咲く花は、かわいいピンクにしてみよう。
緑色は、柔らかな春の緑をふんわりと巻いて・・・。
作品を作りながら、和菓子の背景を紐解くような想いがします。
早春の和菓子「雪割草」
その時季が、今から楽しみです。
雪割草
| 2011.12.18 Sunday
天使の羽
| 2011.12.07 Wednesday
お菓子をテーブルに置くと、急に空気が華やぐようです。
お菓子が愛らしいからかな。
みんながニコニコするからかな。
お菓子の背景に広がる、目に見えない華やかなもの。
見つめた時の楽しい気持ち。
それを包む温かな笑顔・・・。
美味しそうなモンブランを見ながら、スケッチしていた時、
「何かに似ている・・・、何かが足りない・・・。」
ぼんやりと見つめた後、ふと描き加えた天使の羽。
それ以来、目に見えないものを形にする楽しさを感じるようになりました。
華やいだ雰囲気は、どんな形だろう。
甘いお菓子の香りはどんな色かな・・・。
和紙のようにふんわり、ふわふわするのかな。
・・・心に甘く届くといいな。
色と形と紙と
| 2011.11.01 Tuesday
「なんてきれいな紙なんだろう・・・。」
何度出逢っても、そう感じる美しい紙。
透けるほどに薄い和紙「典具帖紙」(てんぐじょうし)。
白、黄色、オレンジ、赤・・・。
薄い和紙が重なり、柔らかに溶け合う色。
和紙を1枚に広げて、手でそっと握ると全く別の表情に・・・。
保たれる形。
そこに現れる色。
和紙を切り取り、重ねながらパーツ作り。
一つづつ異なる色。
色の楽しみ。
くり抜いたり、紐状にして飾ったり、紙を曲げたり・・・。
いろいろな形。
形の楽しみ。
色と形と紙と。
創作の楽しみ・・・。