愛知県の小原和紙工芸作家、加納恒・登茂美ご夫妻が漉かれた和紙です。
現在展示中のギャラリーで求めました。
幅20cm、長さ95cmの「長和紙」は、本来文字を書くために漉かれた美しい和紙です。
私はその模様や色合いをとても素敵に感じて、個展で立体作品を飾る際に使っています。
今回は、スイーツのような甘くキュートなイメージを感じて選びました。
和紙には、糸が軽やかに踊り・・・
甘いキャンディーのような色がふんわり浮かんで・・・
口紅で模様を付けられたものもあり・・・
見ているだけでワクワクしてきます。
その和紙に「和紙スイーツ」を置いてみました。
ワイン色のシルク糸入り和紙には、「葡萄のパイ」を。
愛らしいピンクの木綿糸とビーズ入り和紙には、
「ラズベリームース」を。
口紅で付けられた模様の和紙には、「おめかしホワイトチョコムース」を・・・。
素晴らしい和紙と向き合っていると、自分の中で新しい何かが生まれてくるようです。
これからどんなスイーツの物語をのせていこうかな・・・。
和紙と出逢い、そこから感じたイメージを一つずつ形にしていくのが楽しみです。
~5/28(土)まで
「和紙の力」加納恒・登茂美ご夫妻
ステージ・あうんにて
出逢いの和紙
想いのままの紙
私が作品に使用している和紙「典具帖紙」(てんぐじょうし)は、透けるほどに薄く、
水彩絵の具を重ねるように、いろいろな色が作れます。
「好きな色を重ねて、美味しそうなお菓子の焼き色を作って下さい。」
最近の和紙スイーツ講座では、皆さんに色作りも楽しんで頂いています。
材料の和紙を配っていたら、お一人の方がパッチワークのように一枚ずつ和紙を
並べて色の変化を楽しんでみえました。
重ねると色が濃くなり、また新たな色が生まれる。
2枚、3枚、4枚・・・と重ねる度に生まれる色・・・。
本当にそれだけで楽しい。
ニコニコしながら、楽しそうに並べ替えているご様子は、紙を楽しむ原点のようにも
感じました。
クッキーの色はいろいろ。
優しい焼き色、こんがりキツネ色。
チョコレートクッキーにマーブルクッキー。
そして出来上がったクッキーに飾り付け。
1枚の紙が、ひもにもなるし丸にもなる。
その薄さとしなやかさで、どんな形も自由自在。
「想いのままになってくれる紙なんです。」
講座中、ついそう言ってしまいます。
今日は久しぶりに自分でクッキーの作品作り。
楽しんで作っていたら、ピーカンナッツの新しい作り方を発見!
こういう形になって欲しい!・・・と作ったら、ちゃんとそうなってくれました。
この和紙のおかげとまた感動・・・。
本当に想いのままになってくれる、素敵な紙です。
和菓子のはじまりは「落水紙」から
「落水紙(らくすいし)」という穴のあいた和紙があります。
その模様は水滴状のものからレース模様まで様々。
他の紙と重ねると、楽しい表情を見せてくれます。
和紙スイーツのベースは洋菓子ですが、
和菓子作品を作るきっかけとなったのは、この落水紙からでした。
数年前の春、和紙店でいつものように和紙を選んでいました。
ふと目にした、細かな穴のあいた落水紙。
「桜餅みたい!」
小さな穴が、桜餅の道明寺のように見えました。
「この和紙で桜餅を作ってみたい・・・。」
それが和菓子作品への始まりとなりました。
小さな姿に、季節を閉じ込めた愛らしい和菓子。
作品を作る度に、豊かな世界を感じています。
春はもうすぐそこまで・・・。