おじいさんの言った通りだった。
しばらくしたら、まんまるだった栗のイガに筋目が入ってきた。
それからイガはだんだん色が茶色くなっていった。
ある日、そのイガを見てびっクリした!
なんと自然に割れて、中から栗が顔をのぞかせていた!!
台風で落ちてしまったまだ青かったイガ
すごいなぁ・・・
僕は仲間の力に感動した。
その時僕は思った。
僕の展示DM、この仲間との写真にしたい!と。
・・・でもすでにDMには他の写真が撮ってある。
あの美紀さんのことだから、そんな思いつきではダメだと言うに決まってる・・・
でも僕は勇気を出して言ってみた。
ああぁ、コワイ・・・
「えっ!いいの!!」
どうしたんだ。
栗太郎展だから!?
美紀さんもようやく人に譲ることがわかってきたのかな。
それなら撮影で下に敷く紙、決めなきゃ。
ちがう、ちがう、そんな明るい色じゃない。
シックな感じにしたいんだ。
僕は「起毛紙の毛皮風」っていう紙を選んだ。
この紙の表情が、イガに似てるなって思ったんだ。
それにおじいさんの故郷のフランスの紙だよ。
僕は開いた栗をよく見ようと、椅子に乗った。
陶芸家のフジヒラさんが作ってくれた新しい椅子なんだ。
パチパチと、美紀さんが写真を撮った。
ええっ、もう終わり!?
ほんの数枚だよ!
もっとたくさん撮ってよ~!!
ねぇねぇ!!
・・・・・・仕事に行ってしまった。
僕はフジヒラさんの椅子に座って、しばらく仲間たちと話をした。
みんな温かくって、また楽しい気持ちになってきた。
仲間っていいなぁ・・・
!!
その時僕はひらめいた!
僕はDMを作ってくれるデザイナーのウリモトさんに、こっそり電話をかけた。
「展示会のタイトル、僕の名前を美紀さんの名前よりもグ~ンと大きくしてね!」って。