栗の木の下で 記:栗太郎

| 2018.09.09 Sunday

9月
それは僕の季節 

友達の栗きんとん君や、栗まんじゅう君もこれから忙しいって言っていた。
僕もこの秋は忙しくなりそうだ。
なんといっても「栗太郎展」っていう僕の展示があるんだよ。

最近、美紀さんはよく僕を連れて出かける。
しばらく放っておいたくせに、調子がいいんだから。

今日は仕事の打合せに連れられて行った。
仕事を終えてその近くに栗畑があると聞き、美紀さんは大喜びしていた。
なんだかんだ言っても美紀さんも栗が好きなんだよなぁ。

車で走っていると栗畑を見つけた。
大きな栗がたくさん実ってる!





なつかしいなぁ・・・
僕もここから生まれたんだね。
僕は木に登ってみた。
上からの眺めもいいなぁ。





あっ!
下を見て驚いた!!
何と栗の実がたくさん落ちていた。
近くにはまだ青い実が山積みになっていた。





ちょうど持ち主のおじいさんがいて、僕はお話を聞いた。
この間の台風で、木も折れてたくさんの実が落ちたんだって。
今年はたくさん実って楽しみにしていたのに・・・
とおじいさんは寂しそうだった。





ぼくはしばらくおじいさんとお話をした。
栗のお話や台風のお話、昔のお話・・・
おじいさんにはたくさんの趣味があって、聞いていてとても楽しかった。
僕と同じように写真も好きだったんだって。

おじいさんはたくさんの栗の山から、こうして割るんだよ・・・と。
パカッと栗を手で割ってくれた!
僕はのぞきこんだ・・・





中から栗が出てきて、感激した!
栗は割れる前に筋が見えてくるんだって。
木の上で割れた栗は、色も濃くてとても甘いらしい。

そう言っておじいさんはいくつか割って見せてくれた。
青いイガは、中の栗も白っぽかった。
たくさんの青いイガを見て、僕も心が痛んだ。

今日、栗の木の下でおじいさんと会えたこと、たくさんお話が聞けたこと、
おじいさんの笑顔を僕は忘れない。
僕の仲間たちの姿も忘れないよ。


家に帰って、栗の枝や実を美紀さんは部屋に飾っていた。
きっとだんだん色が変わっていくんだね。





秋の展示には僕の友達も来てくれる。
そうそう、イガオくん元気にしてるかなぁ・・・