美味しい和紙
甘い薫り
窓を開けると、甘い香り・・・。
小さな小さな花があつまる金木犀。
ふんわり漂う秋の香りに、甘い記憶も柔らかに浮かんでくるようです・・・。
以前、和紙スイーツの展示会場で、
お客様から「作品に甘い香りがつけてあるのですね。」
と言われたことがあります。
作品に香りはつけていないことをお伝えすると、
「確かに作品から甘い香りがしたのですが・・・」
と不思議そうにされていました。
イメージの薫り・・・?
私もまた不思議に思いながらも、とても嬉しく感じました。
・・・甘いイメージの色は、優しいピンクやオレンジや黄色でしょうか。
最近、そんな甘い色合いの和紙を購入。
その和紙を背景に、これから額装作品を制作予定。
スイーツから広がるイメージの世界・・・。
そこには目に見えないものを形にする楽しさが溢れるようです。
甘色の和紙に、透けるほどに薄い典具帖紙(てんぐじょうし)を重ねて、
甘く温かな作品を作りたい・・・。
どんなデザインを重ねていこうかな・・・。
しばらくは、和紙と向き合いながらのイメージ作り。
作品から甘い薫りが届けられたら嬉しいな。
夏の和菓子は典具帖紙
透けるほどに薄い和紙、「典具帖紙」(てんぐじょうし)。
見ているだけで涼やかな風のようです。
夏の和菓子もまた透明感のある寒天や葛が、水辺のような涼しさを運びます。
その姿を典具帖紙で表現してみたいと、ずっと思っていました。
実際の和菓子を前に、透明感を見つめます。
見つめるほどに、小さな世界から涼やかな風景が広がるよう・・・。
作り手の繊細な感性に触れるようです。
ごくごく薄い典具帖紙を、折ったり、絞ったり、また広げたり・・・。
こんなに薄くて柔らかい和紙なのに、強くて破れない。
形もちゃんと保っていてくれる。
何日も同じ和紙に触れているうちに、手が何かを覚えてゆくよう・・・。
ここでもまた和紙を作る方の温かな想いに触れるようです。
この透明感は、本当に典具帖紙ならでは。
またまた魅了されてゆく、和紙の世界・・・。