かげろうの羽・・・そう喩えられる、極薄の和紙・典具帖紙(てんぐじょうし)
透けるほどに薄く、はかなくもあり、とても美しい
典具帖紙を広げて、ふわりと窓際に置く
光と空気の中、まるで生き物のように浮遊して・・・
ゆらゆらと形を変え、見ていると何だか心地よく・・・
落水紙(らくすいし)という、穴のあいた和紙と重ねてみる。
見え隠れする表情、包まれた空気感がまた美しく、
透けた向こうにある魅力は何だろう・・・
薄い薄いその1枚に、まだまだ秘めた可能性がたくさんあるようで、
かすかな風で、またゆらゆらと・・・
ゆらぐ様子を眺めつつ、広がる世界を感じる日々
かげろうの羽
典具帖紙
透けるほどに薄い和紙「典具帖紙」(てんぐじょうし)
かげろうの羽にたとえられる、極薄の和紙
和紙の向こうにかざした手が透けて見える・・・
「これが和紙ですか!?」
と、驚かれることもしばしば。
いろいろな紙を使ううちに辿り着いた、この美しい和紙
様々な色、濃淡、ぼかし・・・
作り始めた頃は、何枚か重ねて出来る色合いに心躍らせていました。
それは美味しそうな焼き色だったり、
美しいグラデーションだったり、
思いがけない表情だったり・・・
今はこの一枚の薄さも、作品の中で表現できたらと思っています。
美術品の修復にも使われる、典具帖紙
縁の下の力持ちのようにも感じます。
空気を包み込むような和紙
夢のように甘い和紙
秘めた可能性の和紙
その和紙を、羽のように軽やかに舞わせたいな・・・
想いの和紙
只今展示中の「和紙に込めた光たち」
和紙スイーツの立体作品を、長さ3、6メートルの台3台に飾っています。
各台にはセンタークロスのように、温かな白い和紙を敷きました。
その和紙は、想い深く・・・・・・
小原和紙工芸作家の加納登茂美・恒ご夫妻
数年前からご夫妻の和紙を、展示で使わせて頂いています。
お人柄のまま、和紙もまた趣き深く温かく・・・
素敵な和紙のその向こうにあるのは、やはり素敵な人なのだと感じます。
今回の展示用に、和紙をお願いしました。
受け取りの日、まだディスプレイも決まらず、余裕のない私。
用意して下さった和紙を目にして、感激しました・・・・・・
焦る気持ちをも包むように、その和紙は季節の優しい花が添えられた包みの中にありました。
ひとつひとつの事に、何と丁寧に心豊かに向き合ってみえるのだろう・・・
和紙と共に、大切な何かも頂いたようです・・・
包みから出てきた和紙は、どれも作品のイメージにぴったり!
嬉しくて嬉しくて・・・
私の作品は、主に洋のイメージ
それに何て優しく似合う和紙
すると、「倉さんの作品に寄り添って漉きました・・・」と。
どの和紙も、作品を想い、新たに漉いて下さったものでした。
・・・展示直前の焦る気持ちが、心穏やかに、また強く変わっていくのを感じました・・・
展示に使用したのは、優しく温かな白い和紙
どの白にも、豊かな表情があります。
3つのテーブルを、「和菓子」、「洋菓子」、「イメージの洋菓子」とテーマごとに飾り、
作品に合わせて、白い和紙に色を少し加えました。
和紙は、優しく寄り添うように作品を包んでくれます・・・
「和菓子」は、「四季」をイメージ
縦に筋が入った和紙
その筋は指の跡・・・他より薄くなっています。
そこに、季節の色を加えました。
春は桜色、夏は水色、秋は夕焼け色、冬はグレーがかった青を・・・
和紙が透けるので、やんわり色が映ります。
「洋菓子」は、「水玉」をイメージ
レース模様のような可愛い和紙を敷きました。
丸い形がマカロンのよう・・・
丸くちぎった和紙を所々入れていきます。
水玉模様の愛らしいテーブルができました。
「イメージの洋菓子」は、「雨上がりの虹」をイメージ
落水紙(らくすいし)という、穴のあいた和紙を使います。
この穴は、和紙がまだ濡れている時に、上から落とした水の跡
4作品の台と、和紙の両端に虹を入れました。
作品に寄り添って漉いて下さった和紙
温かな想い溢れる和紙
忘れられない大切な和紙
小原和紙工芸作家・加納登茂美、恒ご夫妻