「おみやげ」 記:栗太郎

| 2013.03.10 Sunday

「栗太郎も来れば良かったのに」





美紀さんは、楽しそうに神戸から帰ってきてそう言った。

1年前、僕は初めて神戸での展示会に出た。
そこで僕はたくさんの笑顔に囲まれて、毎日とても楽しかった。
フジヒラさんと、チョウシさんっていうお友達もできたんだよ。
2人の作品は、いつも愛用しているんだ。


美紀さんは今年も新しいお友達ができたようで、楽しそうだった。
僕にいろいろな写真を自慢げに見せてくれた。

僕も行きたかったけど、大切な用事があったんだ。
僕だって僕の都合があるんだからね。
でも・・・みんなには逢いたかったなぁ・・・。

しょんぼりしていたら、美紀さんがカバンの中から二つの袋を出した。

それは僕の友達からのお土産だった!!
しかも僕の大好きなものばかり!

フジヒラさんからは、大好物の栗蒸し羊羹!!
一番好きなお店のものなんだって。
嬉しいなぁ。
なんてイイ人なんだ!




チョウシさんは、ニオイスミレっていう、とても良い香りがするスミレをくれたんだ。
僕が花が大好きで、園芸委員までしてるの知ってたのかな。
あぁ・・・甘い匂い・・・。





二人とも、なんて優しいんだ・・・。
美紀さんにも少しは見習ってもらいたいもんだ。

僕はニオイスミレを鉢に植え替えた。
栄養いっぱいに育った、元気なお花だなぁ・・・





それから僕の椅子に座って、栗蒸し羊羹を食べた。
去年もらったのとは、また違う美味しさだ。
花を眺めながら、僕はとても温かな気持ちになった。

ずっと会っていないのに、何だかすぐ近くにいるみたいだから不思議だね。
これからも椅子に座ったり、スミレを見たらいつも思い出すね。





想えば、近くにいるんだね。